【津軽線】

ローカル線冬の旅

津軽線に乗り、本州の北のさいはてへ

津軽線は青森－三厩（みんまや）間だが、青森駅－新中小国信号場間３３.７ｋｍは津軽海峡線の一部で、本州と北海道を結ぶ大動脈として、特急「スーパー白鳥」・「白鳥」、急行寝台「はまなす」や、コンテナ特急などが快走している。この日は新青森駅を１２時４５分に出発する特急スーパー白鳥１９号に乗車して蟹田に定刻１３時３７分到着。次に乗り継ぐ三厩行は１４時２０分である。三厩行ディーゼルカーは駅構内の引き込み線で待機していてまだ乗車できない。
ホームで列車の写真などを撮っていたが、寒くなったので跨線橋を渡って待合室に行くことにした。いかにも地方の駅といった雰囲気のある待合室の隅っこには蟹田駅の観光駅長「津軽蟹夫」というカニを模した顔出しパネルがあったが、一人旅なので看板の裏側に回って顔を出して写真やビデオで撮るわけにはいかない。駅には地元の乗客と鉄道ファンと思しき人たちが混じっている。そろそろ三厩行きの発車時刻が近づいたので跨線橋を渡って三番線に来た。
 

 北海道新幹線で輝き失う蟹田駅

 この蟹田駅は実質的なJR東日本とJR北海道の分岐駅。貨物列車は行き違いなどでダイヤ上必要なとき以外は停車しないが、特急・急行や全ての列車が乗務員交代のため停車します。また、「蟹田～木古内」間は快速「海峡」廃止以降は普通列車が走っていないため、特急「スーパー白鳥・白鳥」の自由席を普通乗車券・青春１８きっぷ・北海道東日本パスなどでも利用することが許されている。そのため期間中は乗り継ぎ客でそこそこ賑っている。駅前通りにはちょっとした飲食店があり海まで５分ぐらいで歩いていけるから旅の中継点としても利用が可能だ。しかし、北海道新幹線が開業すると特急約１０往復がなくなり、「青森～蟹田」間の運行本数が半減する。特急の運行廃止による影響で、蟹田駅の利用者は大きく減ると予想できる。どうやら北海道新幹線の煽りを一番受ける駅になってしまいそうだ。

  津軽海峡を見て三厩へ

３番線ホームには白い車体に赤い帯の入ったキハ４０系ディーゼルカーが二両連結で停車している。先頭車両に乗り込む。座席はは向かい合わせ四人がけのボックスシートが通路の左右に並んだ地方路線やローカル線によくあるタイプだ。定刻１４時２０分に、ディーゼルカーはグォーンとエンジンを音を轟かせて動き出す。

 

津軽線は蟹田から津軽半島の内陸へ向かう。次の駅、中小国は津軽線と海峡線の分岐駅で、時刻表の地図も中小国で海峡線と津軽線が枝分かれしている。しかし実際に来てみると、中小国駅は線路もホームも一本だけの無人駅である。実際の線路はどこで分かれるかというと、中小国から少し先に行った新中小国信号場というところで分かれている。この分かれた線路が海峡線である。こちらの津軽線は一本のままだが、分かれた方の海峡線はさらにポイントで三本の線路に分かれている。ここが新中小国信号場だ。北海道新幹線のコンクリート製の高架橋が津軽半島のどんよりした空に大きく横たわっている。津軽海峡線の高架 を左（西側）に見ながら、ディーゼルカーはマイペースで北へまっすぐ進み大平（おおだい）に停車する。並行に近いルートを走る海峡線は津軽半島の山野をトンネルで突っ切るが、津軽線のディーゼルカーは重たいエンジンを、グルグル、ガガ～ gaga～と一層唸らせ、右に左にカーブしながら雪深い山道を登ってゆく。　品川トンネルで峠を越えるとディーゼルカーは軽快に坂を下りはじめる。次第に山が開け、いったん遠ざかった海峡線が再び右から近づいてくる。

 

津軽二股に停車。海峡線は盛土上の一段高いところにあって、こちらを見下ろしている。盛土上には海峡線の津軽今別という駅がある。二つの駅はこんなにも近くて連絡用の階段も整備されているが、津軽今別に停車する列車は上下合わせて一日四本、津軽線も十本だから実際のところ接続は難しい。津軽二股はＪＲ東日本、津軽今別はＪＲ北海道という違いも影響 しているのだろう。北海道新幹線開業に伴い津軽今別駅は廃止され、奥津軽駅に改称される。津軽二俣を出るとほとんど新幹線と化した海峡線の高架橋をくぐり、さらに坂を下る。二つ先の今別から海沿いに出る。今別には漁港がある。今別を発車すると線路は左にカーブして、港町とその向こうの津軽海峡を見ながら西へ進む。やがて列車は海のすぐ近くに出て、三厩湾に沿って弓なりにカーブしながら進む。トンネルをくぐり再び海沿いを走って、１５時００分ちょうどに終点三厩に着いた。

三厩の駅は海から少し入ったところある。ホームの両側に線路が一本ずつ、ぜんぶで二本ある。一日五往復しかない運転本数（一本は青森行、四本が蟹田止まり）だから、駅舎側の一本はふだん使っていない。龍飛崎行きのバスが十分後に出るらしいが、残念ながらきょうは２１分後の折り返しディーゼルカーで蟹田乗換青森まで戻らなければならない。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０１４／１／２８（火）

 

駅一覧

 赤の駅は切符・駅スタンプ（ない駅もあります）、青の駅は駅スタンプがご覧になれます。

青森駅―油川駅―津軽宮田駅―奥内駅―左堰駅―後潟駅―中沢駅―蓬田駅―郷沢駅―瀬辺地駅―蟹田駅―中小国駅―（新中小国信号場）－大平駅―津軽二股駅―大川平駅―今別駅―津軽浜名駅―三厩駅