留萌本線乗り納めの旅
12月4日(日)が最終運行日となる留萌本線「留萌~増毛駅」間乗り納めのため、2日(金)に吹雪の中を稚内から特急「サロベツ」で旭川入りした。この日の宗谷本線は特急「サロベツ」を最後に、この後の普通、快速、特急列車の全てが運休になった。車内放送をしている車掌さんは偶然にも昨夜稚内行「スーパー宗谷3号」に旭川から交代で乗務した車掌さんだった。検札の際声を掛けたら車掌さんも僕のことを覚えていた。この日は道内のダイヤは大幅に乱れ留萌本線も午後から留萌~増毛間が運休した。明日はその分余計に混雑しそうだ。
強風が吹き荒れて傘をさすのもままならない悪天候の中を雪まみれになって、キャリバッグを引っ張って頼りない足取りで駅前のワシントンホテル旭川に急ぐ、夕食は近くのラーメン店で済ませた。
臨時列車として留萌本線を走るタラコ色のキハ40-1758
最終運行日の前日なので混雑が予想されるため早めにホテルを出発して駅に向かう。乗車するのは旭川発8時49分の臨時列車だ。この列車は函館本線を経由して深川と留萌だけに停車して終点の増毛向かう。既に3番線ホームには数人が並んでいる。しばらくしてからキハ40系3連の列車がホームに入って来た。なんと、先頭は朱色5号キハ40系ではないか。。。念願かなって旭川駅に 停車するタラコ色を拝む事ができた。この列車は釧路運輸車両所から釧網本線・石北本線経由で乗り入れている。一連の台風被害により復旧が遅れている根室本線東鹿越~新得間の不通が続く中、わざわざ釧路から馳せ参じたというわけだ。
出発間際には椅子席は埋まり立っている人も出るようになった。自動放送ができないので車掌が乗務していた。最初の停車駅深川からも多くのファンが乗り込みほぼ満員状態。 「深川駅」は留萌本線の始発駅で「留萌駅」を経由して終着「増毛駅」までの66.8kmを結んでいる。
深川を出発した列車は昨日とは打って変わった青空の中、列車は石狩平野の北端を走り抜ける。かつて札沼線が接続していた石狩沼田を過ぎると、 左手 から山々が少しずつ迫ってきて、列車は人家の少ない山間部へ入った。一段と積雪は深くなり、 恵比島からは 完全に山の中だ。峠を越え鬱蒼とした山の中を下って行くと、列車は峠下へ。ここからは国道と合流、並行する留萌川と交差しながら平地をしばらく走れば留萌に到着する。
95年の歴史を刻んだ終着駅~留萌本線増毛駅~
留萌では27分停車。既にホームや構内は人で溢れている。その間写真を撮ったりして過ごした。一日乗り放題のフリーきっぷ「留萌本線フリーパス」を使って留萌~増毛間を往復する鉄道ファンも加わり満員状態で増毛に向かった。列車は留萌を出ると直ぐに日本海に沿って走る。海に向かって幾度となくシャッタを押す。沿道では所々でカメラを向ける人が増えてきた。撮影ポイントの箸別付近の国道高架橋ではカメラの放列が車内からよく見えた。間もなく列車は定刻11時に終着駅増毛に到着した。この臨時列車は22分後に折り返して留萌行となる。この列車で留萌に戻り、30分後の定期列車で始発駅深川に戻る予定を組んでいる。その間に留萌名物の「にしん蕎麦」でも食べるつもりでいたが、行列ができていたので諦める。やがて深川からの定期車両「キハ54形」が多くの鉄道ファンを乗せて4両編成で留萌に到着した。
留萌駅では2両ずつに切り離され、前の2両は増毛行、後の2両は深川行に分かれた。通常は定期便のキハ54形1両だけのワンマン運転であるが、廃止が近づき利用客が増えることを予測して増結がわれている。増毛方面は満員のようであったが、深川方面は約半分の乗車率で、1両編成だったら座席が埋まる程度だった。それなのに、留萌駅では乗客を誘導する係員(アルバイト?)の不手際で混乱、乗客とのトラブルも加わり若い警察官2人が出動する有様だ。私も係員の乗れない人もでるので「お急ぎください」と、まぁ半ば脅しともとれる誘導に煽れて記念切符購入の列を離れた。しかし、幸いにも戻った深川駅の構内で購入することができた。
お名残り乗車で大混雑
いつものように、路線の廃止が決まると、お名残り乗車で乗客が増えるという現象が起こる。それはいたし方のないことですが、普段からこのような賑わいがあれば廃止にならなかっただろうと考えると、複雑な気持ちになる。留萌本線は2年半ぶりの乗車となったが、その時も乗客は「深川ー増毛駅」間往復とも10人足らずであった。しかもほとんどが鉄道ファンで占められ、駅も閑散としていた。地元利用客の減少に伴い廃止されてしまうのは大変残念なことですが、地域の人々から長年にわたり愛された留萌本線の歴史を、ずっと忘れないようにしたいものだ。
2016年12月3日(土)
駅一覧
深川駅―北一已駅―秩父別駅―北秩父別駅―石狩沼田駅―真布駅―恵比島駅―峠下駅
―幌糠駅―藤山駅―大和田駅―留萌駅―瀬越駅―礼受駅ー阿分駅―信砂駅―舎熊駅―
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