大自然の中での静寂なひととき。
飯田線でめぐる、「秘境6駅探訪」ツアーに参加。
秘境駅とは断崖絶壁、深い山中、無人の原野など、「アクセスが困難で電車でしか行けない、周りに人家が少ない」などの駅を秘境駅と呼んでいる。要は、「何故こんなところに駅が?」という場所にある駅です。もともとは集落があった場所なので利用客もあったが、ダム建設で水没してしまうために、集落ごと引っ越してしまったなどで寂れたしまった駅という感じでしょう。JR東海ツアーズが秘境駅を巡る旅を企画していると聞いて4月11日(月)に参加した。
いつもは「ぶらり一人旅」でツアーに参加するのはおそらく初めてだろう。秘境駅巡りをするとなると列車の本数が極端に少なく、どう頑張っても一日で6駅を訪問するのは困難なためいい企画だ。本来は静かなはずの秘境駅が賑やかになってしまうが、これもツアーなので仕方がない。秘境駅の魅力は何といっても利用客が少ないので昔のままの状態が保存され、ひっそりと佇んでいることが魅力だ。そして山の中など人里離れた場所にあるので豊かな自然がいい。次の電車がくるまで駅周辺をハイキングするのもいいだろう。
愛知県豊橋から長野県天竜峡間を往復、秘境駅を巡る旅
「秘境駅」をめぐる旅のスタートは愛知県の豊橋駅。旅はのんびりと無理をしないことをモットーとしていることから、前日に豊橋入りして駅前のホテルに宿泊した。飯田線豊橋駅10時8分発の特急伊那路1号で天竜峡に向かう、到着は12時24分、この間に駅弁「秘境駅弁当」が配られた。
天竜峡駅では小1時間、天竜峡案内人とミニ散策を行い、いよいよ13時28分発の急行「飯田線秘境駅号」で「秘境駅」をめぐる旅はスタートした。急行とは言いながら秘境駅を巡る復路(天竜峡→豊橋)は4時間26分の旅となる。これは、復路の急行「飯田線秘境駅号」は観光列車として「秘境駅」を楽しむために設定されているからだ。ちなみに往路(豊橋→天竜峡)の特急伊那路1号は2時間16分で運行されている。
行程は、『豊橋駅(特急伊那路1号)→天竜峡駅(急行飯田線秘境号)→千代駅→金野駅→田本駅→為栗駅→中井侍駅→小和田駅→大嵐駅→豊橋駅』
豊橋~天竜峡
駅前東口のホテルを9時30分チェツクアウト、豊橋駅に向かう。JR東海の373系3両編成、特急「伊那路1号」は飯田線4番乗り場からの発車です。車両が立派なのでこれから秘境駅に行く雰囲気感じられない。乗客は平日のせいか高齢者が圧倒的に多く、なかでも夫婦連れが目立つ。私のような1人旅は数えるほどだ。添乗員が参加者の確認を済ませていよいよ出発です。お昼ご飯の「飯田線秘境駅弁当」(1,000円)は既に積み込まれており、11時過ぎには添乗員さんにより配られる。豊橋駅の売店で販売されているのと同じ弁当だ。長篠城駅の本丸址や城西駅と向市場駅の間にある奇妙な鉄橋(川を渡らず、同じ側の岸に戻ってくる飯田線の珍景色になっている)「渡らずの橋」と呼ばれる第六水窪川橋梁が観えてくると車内アナウンスでの紹介があった。もちろん、その間電車はゆっくりと走行してくれます。
天竜峡駅・天竜峡
天竜峡駅に到着です。2時間16分の乗車でしたが、飽きることなく思わず時間を忘れてしまう車窓でした。天竜峡駅は観光地の駅という風情で、ホームには天竜ライン下りのマネキンの立体看板がありました。
いつものように改札口で駅スタンプ2種類を押して先を急ぐ。「飯田線秘境駅号」の出発までは約1時間。そこで3班に分かれて天竜峡案内人とミニ散策を楽しむことに。天竜峡川下り、船着場には「花桃」が咲き出し、随所に咲き誇る「ミツバツツジ」の群生には思わず歓声が上がるほど綺麗だった。桜は散り始めたが、「ドウダンツツジ・ヤマツツジ」も咲きほこりまさに百花繚乱のいい季節となった。
千代駅・金野駅(長野県)
JR飯田線の天竜峡駅から豊橋方面に1駅目で秘境駅ランキング第38位の千代(ちよ)駅(写真左側2枚)、2駅目は秘境駅ランキング第9位の金野(きんの)駅(写真右側2枚)と連続で停車します。
千代駅は天竜川の山間部にあり、駅周囲には民家が1軒とわずかな畑地があるのみ。ここはその昔、正面を流れる天竜川での砂利の採取をしていた貨物駅としても知られる。川面から索道を使って砂利を引き上げ、本線のトンネル脇のホッパーから、無蓋貨車へ積み込んで輸送していた。金野駅はどこからが駅でどこからが野原なのか?野原と渾然一体と化した秘境駅っぽさを感じさせる。駅は天竜川から少し離れた支流の米川の目の前、飯田線の秘境駅の中でも、駅まで車が入ることができる数少ない駅です。以前は多くの人が利用したと思われる駐輪場があります。
田本駅(長野県)
次は秘境駅ランキング第4位の田本(たもと)駅。到着した田本駅は、駅の前後はトンネルで、ホームの片側は壁に張り付いている。線路下には天竜川が流れる断崖絶壁の駅です。もう片方は見渡す限りの自然、近くに民家は全く見えない。
駅からはこれが道?というような急坂を登って行くとトンネルの上から駅が見下ろせます。その風景は、確かにランキング第4位の秘境っぷりだ。ホームからは大きな岩を見上げることができます。
為栗駅(長野県)
田本駅を出発した列車は、次の秘境駅ランキング17位の為栗(これも難読駅のひとつで、「してぐり」と読む)駅で停車します。この駅は、平岡ダムの完成により周辺の集落が水没したことで、周りに集落が少なくなって、秘境駅と呼ばれるようになりました。駅を豊橋方面へ出るとつり橋があり、平岡ダム湖や羽衣崎橋と山々が織りなす雄大な景色が楽しめます。
中井侍駅(長野県)
秘境駅ランキング第14位の中井侍(なかいさむらい)駅は信州(長野県)最南端の駅です。一見難読駅名に思えますが、素直に読めば正解です。ワケあり風な駅名ですが、由来ははっきりしないようです。ホームは切り立った斜面にあり、傾斜地には「中井侍銘茶」の茶畑が広がっています。ホームからは天竜川が見え、なかなかの風情です。駅の真裏には民家が2軒、駅を出ると狭い急勾配な上り坂が続いていました。
小和田駅(静岡県)
小和田駅は、秘境駅ランキングでも堂々の第3位にランキングされている駅です。ここは愛知・静岡・長野の3県にまたがる県境に位置しています。駅前には何ら施設が無く、道路も通じていないため車で訪問することができません。以前は駅周辺や天竜川対岸にも集落が存在して、車も通れたが天竜川に佐久間ダムが建設されたことによりそれらの集落が水没して、駅周辺の人家は駅から歩いて約20分の1軒と、そこから険しい山道を40~50分ほど登った先にある塩沢地区の数軒のみとなっている。
この塩沢地区への郵便配達は、険しい地形のためにバイクでの配達が困難であるため、郵便局員が列車に乗って郵便物を配達している。皇太子殿下と雅子様御成婚により、雅子様の旧姓の小和田(おわだ)と駅名の小和田(こわだ)の字が同じだったため、脚光をあび、一時は訪れる人も多くなり、この駅で結婚式をあげる夫婦もいたそうです。
大嵐駅(静岡県)
列車は、最後の大嵐駅に到着です。ここも難読駅名として鉄道ファンには知られている駅で、「おおぞれ」と読む。秘境駅ではありませんが駅前には天竜川の素晴らしい景色が広がっています。橋の手前は静岡県浜松市、橋を渡ると愛知県豊根村で、天竜川が県境になっているそうです。橋の向こうまで行ってみたいのですが、停車時間が10分しかないため、天竜川に向かって思い切り深呼吸をして諦めることにした。
この日は空がよく晴れて風もない穏やかな春の陽気でした。大いに満足して帰路となる豊橋行きの急行「飯田線秘境駅号」に乗り込んだ。2時間7分の乗車で豊橋駅には17時54分に到着予定であったが数分の遅れが出た。そのため、ツアー参加者には乗継の新幹線にギリギリで予定をしていた人も多く、豊橋に着くなり急いで新幹線ホームに向ってダッシュしたが、間に合ったのだろうか。。。
1日で飯田線の秘境駅をまとめて楽しめる観光列車として急行「飯田線秘境号」はなかなか便利な列車です。一般旅客として指定席をとることも可能ですが、多くの座席がJR東海ツアーズの旅行商品になっている関係で指定席を取るのはなかなか難しそうです。でも、この日は月曜日のせいか、乗客は多かったが満席ではなかったですね。
2016/4/11(月)
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( )内は昭和50年(1975年)以降に改称された新駅名。
※ 「赤」の駅は硬券と駅スタンプが表示されています。「青」の駅は駅スタンプのみです。
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