新たなビジネスチャンスを逃がす「膨大な機会損失」
最近、アクセス解析の依頼が多くなってきている。そのせいかWebridgeの藤本さんはアクセス解析専用サイトを立ち上げた。実際のところ、ここ数ヶ月で5社のアクセス解析依頼からサイトを分析して見てみたが、アクセス解析する以前の初歩的な問題点が多く存在することに先ず気づかされる。
例えば、リンクエラー、誤字・脱字は当たり前、これではユーザービリティの観点から問題だ。「SEOからみてもサイトタイトルにキーワードが入っていなかつたり、サイトテーマが一致していないことやページが重かったらSEOとして論外だ」。極端な例では問い合わせへページへのリンクエラーも存在した。今までどれだけの機会損失をしたことだろう。
マーケティング担当であれば外部の専門家に直ぐにでも依頼してアクセス解析で分析すべきだ。アクセス解析は外部に依頼してもそれほど高い金額ではない。六ヶ月程度の分析を依頼すれば問題点が洗いざらい見えてくるから今後の対策が立て易くなるので是非お薦めしたい。
□ □ □
では、どのように進めていくべきか?
Webをビジネスに活用する企業にとって、アクセス解析は必須のツール。何も高価で高度なツールを使う必要はない。若し、これからアクセス解析の使用を考えているならば、先ずは無料のGoogle Analyticsの利用をお薦めする。もちろん、他にも安価なツールが存在するが先ず以って、自社で本当に活用できるのかが大事だ。
ところが、実際にアクセス解析を導入していても有効に活用しているケースは驚くほどすくないのが実情だ。Web担当者やシステム部門に任せきりになっていることが多く、これでは導入している意味が無い。データを使うのはマーケティング部門である。だから、本来はどんなマーケティングデータが必要で、そのデータを取得できるツールはどれなのかという見定め方が必要なのはいうまでもない。
だからこそ、冒頭に書いたように無料のGoogle Analyticsの利用を試してみることだ。それで、仕様上の不満がでるようならしめたもの。
それから、求める機能が用意されている有料のアクセス解析ツールを利用しても遅くはない。
アクセス解析の必要条件
データを見るプロセスとしては、既にサイトの立ち上げから数年経過して、データが1年程度の間で蓄積されていることを前提としてサイトの問題点の改善をするという課題が与えられたというシチュエーションで見てみよう。
細部は後回しにして、最初にとりかかるのは、全体像として具体的にはユニークユーザー訪問者数、総訪問回数(セッション数)、総ページビュー数の3大基本指標は月次トレンド(推移)を把握するうえで最低条件だ。さらにイベントなどでアクセスが急増しない平時の時期を選んで、曜日別に時間別に3大指標の数字の動きを追っていく。
その後は、次のような各指標を把握していけばよい。
1. 新規ユーザー/リピータ別と変化
2. 閲覧ページビュー数分布や訪問頻度分布
3. 流入パターン(参照元、キャンペーン、検索エンジン、検索キーワード)のサイトへの流入 特性
4. Landing Page (ランディングページ)入り口ページと直帰率
5. Exit Page (離脱ページ)出口ページ/このページは滞在時間に含まれない
6. ページ(ページビュー数の内訳)
7. 訪問者の主要な閲覧ページ遷移などのサイト内巡回特性
8. コンバージョン(資料請求、購入)数/率
特に、SEO対策をしているサイトは、当然のことながらキーワードマーケティングに時間をか けて幾つかのキーワードを決めていることだろう。にもかかわらず想定外のキーワードでの 流入が多い場合が往々にしてある。これらのキーワードは「キラーキーワード」として次のス テップに生かしていきたいものだ。
最後にこれらの数値を、アクセスが延びた時期と伸びていない時期で取得し、アクセス数が伸びた時の流入原因と閲覧行動の差違を確認しておこう。ここまでの機能は無料のGoogle Analyticsで全て提供されているので十分だ。
用語解説
ユニークユーザー(Unique Visitors)
ユニークユーザーとは、決まった時間内に1度以上サイトへ訪問した人数のこと。検索エンジンのロボットなどを除く。そのレポートの期間内では、そのユニークユーザーの基準において「その人」は1度しかカウントされない。
セッション(Sessions)
訪問(者)/セッションとは、1ページ以上閲覧した1人による訪問のこと。最初のアクセスから一定時間内に他の行動を起こさなかった場合、その訪問セッションは終了となる。
ページビュー(Page Views)
ページビューとは、ページが閲覧された回数のこと。
Landing Page (ランディングページ)
ランディングページとは、マーケティング的に計算されたユーザー行動で最初のページと意図されたページのこと。
Exit Page (離脱ページ)
離脱ページとは、その訪問の最後にアクセスしたページのこと。その訪問の最後を意味する。
コンバージョン(Conversion)
コンバージョンとは、目的の行動を達成させた訪問者数のこと。
オンラインショッピングサイトならば商品購入、情報提供サイトやコミュニティサイトならば会員登録などがコンバージョンにあたる。
不動産などの高額商品や、ビジネス向けのサービスなど、最終的なクロージングまでのハードルが高い商材の場合、ウェブサイト上では資料請求や問い合わせなどの一次的な成果がコンバージョンとなる。
サイトへのアクセス数に対して、コンバージョンに結びついた件数の割合をコンバージョン率(レート)と呼ぶ。