車窓から函館山・津軽海峡はほんの一瞬
新函館駅発14時44分、「はやぶさ26号」は東京に向って発車した。3日前に青函トンネルを抜け、「はやぶさ5号」で北海道に初上陸した際には、絶景の津軽海峡や函館山も見ることができず愕然とした。今日は改めて10両編成の4号車13列目の窓際席に乗り込んで、過ぎ去る風景に注意をこらす。新幹線は新函館北斗−木古内駅間をわずか13分間で駆け抜けたが、車窓からの眺めはトンネルと防音壁にしばしば阻まれた。かつての連絡船はもちろん、今までの特急「スーパー白鳥」「白鳥」とも比べものにならないスピードを獲得した代償として、やっぱり北海道旅行の楽しみであった車窓風景の醍醐味は消えていた。
新函館北斗−木古内間は約35.5キロ。高速運転のためには直線ルートが望ましく、そのわずかな距離に最長の渡島当別トンネルを含めた6本のトンネルが連続する。また高速通過時の環境への影響を少なくするため、地上部分では防音壁も必要となってくる。木古内駅を過ぎれば、青函トンネルの北海道口(知内=しりうち=町湯の里)までさらに内陸部を走行する。そのため海岸線を走っていた「在来線(JR海峡線、江差線)」と違い、のんびりと絶景の「津軽海峡」を楽しむことは不可能になってしまった。海に浮かぶ「函館山」も然りだ。とても北海道らしい景色を堪能できたとは言えない。
鉄道旅の良さは「車窓からの風景」が楽しめることからすると、新幹線に乗った本州からの旅行客は、「はるばる来た」北の大地で何をまぶたに刻みつけるのだろうか。北海道新幹線は新青森−新函館北斗駅間(148・3キロ)のうち、トンネル部分は約65%を占めている。残りは高架橋約23%、橋りょう約4%、路盤約8%だ。これではとても車窓風景を期待するのは到底無理。実に残念なことだ。「海に浮かぶ函館山 2016年1月30日」
2016年7月5日(月)
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