SEM対策の効果を最大化するためには
SEO、リスティング広告、LPOのバランス感覚 SEM(検索エンジンマーケティング)対策のコンサルティングを行っていると、しばしばクライアントから「SEO(検索エンジン最適化)とリスティング広告(検索連動型広告)のどちらを導入したら効果があるか」という質問を受けることがある。 結論はどちらも導入した方がいいに決まっている。しかし、筆者はクライアントの商品やサービス内容を中心に、強みや特徴そして同業他社との差別化などを調べて対策の優先順位をつけてアドバイスするようにしている。特に「同業他社と比較して商品やサービス内容にアドバンテージ」があればSEO対策を施行して目標とするキーワードを上位表示することは意義があり価値も生まれる。困るのはそれらのアドバンテージが無い企業ほど熱心なことだ。本末転倒といわざるを得ない。 どちらもSEM対策の代表的な手法であるのだが、もっともらしい説明で一般的にはSEOが得意な業者であればSEOをすすめ、リスティング広告が得意な業者はリスティングをすすめる。当然といわざるを得ないが本当にクライアントのことを考えているのか疑問を感じるケースが多いのは事実だ。 例えばリスティング広告が得意な業者であれば、Googleアドワーズ広告やオーバーチュアのスポンサードサーチ広告はSEOによる1位表示に比べて、それより上に表示することが可能なためその効果を主張する。掲載順位の1位を100とすれば下がるにつれてクリック率は30%ずつ下がるといわれている。つまり、2位になると70%、3位だと49%になるということである。例えば、トイレの水漏れなどのように急いでいる場合は選択する余地はなく最も目立つ箇所をクリックするのでリスティング広告の方が有利になるといっている。 一方SEOが得意な業者となると、顧客は既に広告であることは承知しておりSEOとして上位に表示される方がGoogleやYahoo!JAPANのような立派な企業が信頼しているからこそ上位に表示していると顧客は判断しているからと優位性を述べている。現在でも上位表示の順番は検索の数で決まっていると信じている人が多いのも事実だ。 それでは、どちらが有効化であるかを考えるまえに、クライアント自らが、双方の特徴について考えて欲しい。 先ず、双方を時間軸で見てみると、リスティング広告は広告出稿が短期で準備ができるというメリットがあり、スポットのプロモーションなどにも活用できる即時性がある。それに対し、SEOはキーワードマーケティングなど充分な時間と対策が必要で、実行するまである程度の時間を要する。公開しても検索エンジン(クローラー)が認識してから効果が発揮されるので、それ相当の時間がかかる。そのため短期決戦であるならばリスティング広告の方が適しているといわざるを得ない。 ところが、コスト面で比べて見るとどうなるか。リスティング広告は広告という特性上、経営者がもっとも嫌うランニングコストが発生するのに対し、SEOは一度上位に表示されれば、検索エンジンのアルゴリズムの変更や競合サイトの対策状況などの外的要因が無い限り、ある程度は長期的に効果が持続できる。当初はイニシアルコストと作業負荷は大きく、効果が発揮されるのにも時間がかかるが、その分長期的な視点に立てばSEOの方が有効であるとも考えられる。 問題は、いくら長期的な効果が持続可能とはいえ、果たして多くのキーワードに対してSEOを行えるかといえば1つのサイトとしてとらえればそれは無理な話である。その上、最近ではSEOの認知度向上を背景にして、現状は常にSEOの競合は存在するため次第に対策は困難になると共に、検索エンジンも人工知能化してきているためスパム行為にならないように充分なる配慮も欠かせなくなってきている。 そうかといって、双方が全く別かといえばそうではなく、キーワードを介して大いに関連がある。SEOにとって大事なキーワードの選定は、リスティング広告の効果を基準にすると非常に分かりやすいからだ。それは、リスティング広告のクリック率やコンバージョウン率などを参考にして、キーワードの検索数や難易度などを加味してSEO対策のキーワードを決めるべきだ。 LPO(ランディングページ最適化)は双方にとってはコンバージョン率を上げるためにはSEM対策には欠かすことができない。リスティング広告でいくらクリック率が向上しても、SEOで上位表示され、ホームページへの訪問者がいくら増えても直ぐに帰ってしまっては効果が期待できない。 冒頭にあるように、SEM対策導入企業の担当者でさえ、SEOやリスティング広告、そしてLPOを個別の施策のように捉えている傾向が強い。しかし、これらはSEM対策という検索エンジンを活用したWebマーケティング活動での効果を最大化するためのホームページプロモーションの一貫であるとの認識を持ち、それらを相補完しながらバランスよく対策を講じていくことが最善のSEM対策の手法であると考えるべきではないだろうか。 ◇ 片手にソロバン、片手に論語 ◇ 子曰く、郷原(きょうげん)は徳の賊なり。 (道徳家ぶる者には、えてして品性下劣な人間が多い)。
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