留萌本線「留萌~増毛間」、2016年度廃止へ
留萌本線は、函館本線と接続する深川駅と増毛駅を結ぶ66.8kmの路線です。その末端部分であ留萌駅~増毛駅間16.7kmをJR北海道は12月4日限りで列車の運転を終了する。1列車あたりの乗客は、平均でわずか3人で「乗客の激減」「大幅な赤字」が廃止の理由です。今日はゆっくりと札幌発11:00スーパーカムイ15号で深川に向かった。深川には1時間後の12:05に着いた。留萌本線増毛行は13:23発だから時間はたっぷりある。先ず駅から10分足らずの深川郵便局に行って風景日付印を押してくる。深川駅周辺は静かで、お昼ご飯は駅から2~3分の地元で人気のある「椿そば処」で天ぷら蕎麦をいただいた。
それでも時間が余ったので、少し早めに留萌本線の4番線で気動車の入線を待つことにする。留萌本線の車窓風景は、留萌を境にがらりと変わる。深川と留萌の間は低い山間を縫うように走り、そして留萌と増毛の間は、日本海の海辺を走る。天気が良ければ、車窓に日本海に沈む夕日を眺めることが出来そうです。
深川駅を発車した気動車の乗客は鉄道ファンと思われる人で占められていた。その数は十数人、乗客の中には終点の増毛まで列車の前後を頻繁に移動したりして撮影に大忙しの人もいる。深川を発車した列車は深川米で知られている北海道の米どころ、ほほ360度見晴らしの良い石狩平野の田園地帯をひた走る。その間には秘境駅に数えらる「北秩父別(きたちっぷべつ)」「真布(まっぷ)真布」を通過、そして昔は札沼線の新十津川から繫がっていた「石狩沼田」やテレビドラマ「すずらん」で使用された架空の駅、明日萌(あしもい)駅のロケ用の建物として観光地化された「恵比島駅」を走り抜け、宗谷本線でよく見かける車掌車を改造した幌糠や大和田の駅舎を通り留萌駅に到着する。
日本一の留萌の夕陽、夕焼けの釧路!
ここで10分ほど停車する。この間を利用して改札を出て駅スタンプを押したり留萌駅の硬券を購入したりする(増毛駅もあるようだ買いそびれた)。発車時間が迫り、急いだせいで危うく駅スタンプ台横にショルダーバッグを置き忘れるところであった。留萌市は「夕陽と数の子の町で日本一」をうたっている。同じ北海道の釧路市が、「インドネシアのバリ島・フィリピンのマニラ」と並び世界三大夕日の1つだと言われている。夕陽と夕日の違いはあるが、ボクなりに留萌の夕陽は夕方の太陽そのもの、釧路の夕日はその夕方の太陽からさす光線と解釈している。夕陽に照らされた顔のように。釧路の幣舞橋(ぬさまいばし)や釧路港などからの夕焼けは実に見事で、「釧路夕焼け倶楽部」という会員組織もあるくらいだ。
札幌転勤を経験した友人は留萌の「うに丼」が絶品だったと語るが、未だその「無敵のうに丼」の恩恵に浴していない。この留萌駅は留萌本線唯一の駅員配置駅で、昔はここから日本海に沿って北上し、宗谷本線の幌延まで141Kmを結んでいた羽幌線が走っていた。廃止された北海道の路線の中でも天北線、名寄本線と並ぶ長大路線だった。
鈍行列車一人旅ー留萌本線の末端へ
乗客の変動がないまま、増毛行きは留萌を発車。ここからは今年の12月4日に運転終了となる末端区間である。やがて右手に日本海が見え始める。やがて車窓右手には留萌本線ハイライトと言える日本海が見えてくる。海の直ぐ側を走っているわけではないが、眼前に人家をちらつかせながら素朴な海が見える。こういう自然なままの海景色も風情があっていいものだ。たぶん2度と乗ることのできなくなる区間だけに訪れることができて本当に良かった。車内の乗客は皆黙って思い思いに右手に流れる海を見ている。
時刻は14:47。深川から1時間半の道のりを経て、列車は終点増毛に到着する。本線の終着と言うにはあまりにも侘しい駅だ。でも、その侘しさがいい。折り返しの列車が発車(15:38)するまで、写真を撮ったり観光案内所でスタンプを押したりして"記録活動"が忙しなく行われている。末端到達の余韻は、乗り場にポツンと佇む気動車を眺めるだけで、存分に感じられた。こじんまりとしてるが、終着らしい佇まいを感じる駅だ。乗り場の先では線路がプツンと途切れている。
増毛と書いて「ましけ」と読み「ぞうもう」とは読まない。駅名が駅名なので、薄毛を絶望する人にとって聖地とされているそうな。今年3月のダイヤ改正で増毛にやってくる列車は、1日6往復。1日1本になってしまった札沼線の末端よりはマシだが、生活に根ざさない本数であることは確かだ。今は線路が一本しかないが、増毛の駅構内は広く、昔の名残を僅かに残している。乗り場向かい側の広い空き地には、かつて貨物用の線路があったという。駅舎は古めかしい木造建築だ。
駅前を出てすぐのところに、「風待食堂」と掲げられた観光案内所が見える。「風待食堂」ってなんて良い名前だなと思っていたら昭和56(1981)年公開の高倉健主演映画『駅 STATION』ロケで使われた建物だ。案内所のおばちゃんは親切な方で記念のスタンプ印3種類を綺麗に押してくれた。留萌駅と並びここでも硬券の増毛駅入場券を手に入れることができるようだ。50分後には折り返しの深川行きが、ほとんど来るときと同じ乗客を乗せて、何の前触れも無く、エンジン音を唸らせて増毛を発車して行った。
2014年6月26日(木)
駅一覧
深川駅―北一已駅―秩父別駅―北秩父別駅―石狩沼田駅―真布駅―恵比島駅―峠下駅―幌糠駅―藤山駅―大和田駅―留萌駅―瀬越駅―礼受駅―阿分駅―信砂駅―舎熊駅―朱文別駅―箸別駅―増毛駅
「青」の駅は駅スタンプのみです